もし仮にあなたがこの世から旅立ったとして、あの世の住まいはどこがいいのか思い浮かべることができるでしょうか?
火葬をした後の遺骨は、ひと昔前ならば先祖代々のお墓に入るというのが当たり前でした。
ですが最近はお墓へ入る以外に、お寺や民間の納骨堂へ納めたり、許可を得た場所の樹木の下に入ったり、遺骨をパウダー状にして海に散骨したりと選択肢が増えてきています。
この記事では自然葬(散骨)について、その方法や種類などを解説してまいりますのでどうぞお付き合いください。
○ お墓以外の遺骨の行き先を知りたい
○ 自然葬は誰に頼めばやってくれるの?
なぜ自然葬に人気が集まっているのか
散骨などの自然葬は平成初期頃に登場し、マスコミなどが取り上げ始めてから急速に認知されてきました。
少子高齢化と核家族の常態化、若者たちの都市部移住など家族を取り巻く環境に変化が起こっている現代では、『墓を守ってくれる家族がいない』という問題が表面化しています。
お墓を準備したとしても、将来的に誰からも見てもらえないというのは切ないですよね、そんな家庭環境の人たちがお墓に変わるものを探す中で、自然葬というものに興味をもつのも必然なのかもしれません。
それ以外にも、『海が好きだった』とか『自然の中で眠りたい』などの、生前の希望を叶える手段として自然葬が選ばれることもあるようです。
お墓・納骨堂・自然葬と、遺骨の行く先の選択ができる時代になっているのです。
自然葬ってどんな種類があるの?
近年注目が集まってきている自然葬ですが、いったいどのようなスタイルがあるのでしょう。
よくわからないと思いますので解説していきます。
海洋散骨
自然葬と聞いて海洋散骨をイメージする人も多いでしょうね。
遺骨をパウダー状に加工して、船で散骨できる海域に向かい、遺骨を海にまいて供養します。
遺骨を海にまくといいますが、そんな簡単なものではありません。
海洋散骨も葬送のひとつですので、周辺環境への配慮やマナーを守ることが必要となってきます。
個人的に散骨をするのは難しいですので、通常は専門の業者へ依頼して散骨を行ないます。
樹木葬
自然葬は自然に還る葬送という意味ですが、樹木葬は木や花などの植物を墓標代わりとして、その場所に遺骨を埋葬します。
霊園の一部が樹木葬専用のスペースになっていたり、里山にシンボルツリーなどが立っていて、そこへ埋葬したりといくつかのタイプがあります。
遺骨についても、埋葬区画が決められているタイプもあれば、他の遺骨と一緒に合祀するタイプもあります。
樹木葬を希望する場合は、場所や埋葬の仕方などを検討したうえで、生前に予約をしておくと葬送時のトラブルも少なくなりますね。
バルーン葬
海でも山でもない…空へ還る自然葬がバルーン葬です。
まだ認知度は低いのですが、海洋散骨や樹木葬が一般化してくればバルーン葬も注目されてくると思います。
バルーンにパウダー状の遺骨を入れて空へ放ちます。
はるか上空の成層圏でバルーンがはじけて散骨され、遺骨は空を漂い続けるという仕組みです。
バルーンをリリースするという葬送ですので、条件さえ合えば場所を選ばずにできるというメリットがあります。
これから一般的になる葬送でしょうから、今のうちに検討してみるのもいいかと思います。
自然葬でのトラブル
新しい葬送のスタイルである自然葬ですが、新しいがゆえにトラブルが起こることもありえます。
以下にトラブルの一例をあげておきます。
遺骨が手元に残らない
自然葬=散骨をするということになりますので、当然ながら遺骨は手元からなくなります。
散骨をしてしまったら、後悔しても覆水盆に返らずということになりますね。
どうしても遺骨を残しておきたいなら、自然葬をする前に分骨をして小型の骨壺で供養をしたり、遺骨を宝石などに加工して手元に置いておくこともできますので希望があるなら検討してみてください。
家族や親族の理解が必要である
自然に還る葬送と聞けばロマンがあっていいのですが、昔ながらの習俗を重んじる家庭の場合は、自然葬をした後に親族間で遺骨の取り扱いについてのトラブルが起こることがあります。
『本人の希望かもしれないが、散骨なんてありえない』とか『遺骨が入るお墓を前もって手配していたのにどうするつもりだ』など自然葬に対する理解がないために行き違いが生じるようです。
こんなトラブルにならないために、自然葬で送ってもらいたいと決断したら、出来るだけ早くに家族や親族と話し合って理解を得ることが必要です。
自然葬は思うほど自由なスタイルではない
海や山や空に散骨をする…だからといって好き勝手に場所を選んで散骨することは好ましくありません。
散骨をする場所は地域生活や生産活動などに影響がないかを配慮して決定する必要があります。
極端な例ですが海水浴場や養殖場なんかで海洋散骨をしようと考える人はほとんどいませんよね。。。まぁそういうことです。
自然葬というワードだけ聞くと開放的で自由なイメージがあるのですが、実際は制約された中での葬送であるという認識をしておく必要があります。
個人の判断では想像しづらいこともありますので、もし迷っていたらプロの業者さんに資料請求してみるのもいいですね。
あなたの還る先はどこですか?
地球に生まれた命が再び地球環境のもとに還る、生き物として当然の流れですね。
しかし我々が人間である以上は、遺骨の取り扱いについて法律の縛りや他者への配慮などを考える必要があります。
現時点で、なんとなく自然葬をしてもらおうかな…と考えているのならば、ぜひ早いうちに専門の業者さんに相談してみてください。
そうすることで、自然葬に対するぼやけたイメージがクリアになり、より一層自然葬に対する興味が深まっていくことと思います。
あなたの死後の住まいはあなた自身で決めることができる時代ですから、ぜひ理想の旅立ちを実現させてくださいね。
最後までご覧いただきありがとうございました。