日本の仏教には似たような名前の宗派がいくつかありますよね。
浄土宗・浄土真宗・真宗・真言宗etc…
名称は似ていますが教義や修行の仕方などは全く違うものです。
この記事では仏教の真宗大谷派のお葬式についてさらりと解説してまいります。
家族の宗教が真宗大谷派だったら、参列するお葬式の宗教が真宗大谷派だったら…作法を知るための参考としてお付き合いください。
○ 真宗大谷派のお葬式に行くので知識が欲しい
真宗大谷派ってどんな宗教なのです?
真宗大谷派はもともと親鸞聖人が広めた浄土真宗が、歴史の流れで分化したものになります。
『一向宗』という名称を日本史のテキストで見たことがあると思いますが、この言葉は浄土真宗を指すときに用いられることがあります。
『絶対他力』の教義のもとに信者を増やしていった浄土真宗は、戦国時代になると教団に属する民衆が『一向一揆』を各地で起こすようになりました。
社会的にも影響力の強かった教団でしたが、組織の拡大とともに内部分裂が起こってきます。
そして江戸時代に西本願寺と東本願寺に分かれることとなります。
真宗大谷派は東本願寺サイドになります。
本尊は阿弥陀如来で南無阿弥陀仏と唱えます。
教義は浄土真宗の流れそのままで、阿弥陀如来の慈悲の力で信心を持ち念仏を唱えることができるとしています。
人は阿弥陀如来に動かしてもらっているのみであるという考え方なのですね。
真宗大谷派のお葬式
『往生即成仏』という言葉があります。
浄土真宗の考え方で『亡くなったならばすぐに仏の弟子なのですよ(阿弥陀様のお力のおかげで)』という意味です。
これに似た言葉で『即身成仏』なんて言葉があります。
これは『修行の果てに悟りを得て仏になる(生きたまま?)』という意味になりますが、浄土真宗の思想とは異なりますので混同しないようにしましょう。
亡くなったら即仏弟子となりますので三途の川は通りませんし、死装束や六文銭(三途の川の渡し賃と言われる)などの旅支度も必要ありません。
エンマさまなどの審判もございませんので、行き先が決まるまで霊となってさまようこともないのです。
ではお葬式の儀礼はどういう意味を持つのかというと、阿弥陀如来さまが与えてくださった教えとパワーに感謝をしていくために行われるのです。
『故人様がその身をもって死というものを皆に教えてくれている。これも阿弥陀如来さまのお力によるものなので、このような学びの機会を与えてくださったことに感謝しましょう。』との気持ちをもって仏の教えを聞く場が真宗大谷派のお葬式なのです。
真宗大谷派の葬送儀礼
地域や寺院などによって若干違う部分もあるかもしれませんが、基本的なお葬式の流れは以下のようになります。
- そうらい【総礼】…導師・僧侶が一同で合わせて礼をする。
- かだ【伽陀】………阿弥陀如来をはじめとする仏を迎えて、儀式のスタートを宣言する。
- かんしゅうげ【勧衆偈】…参列者へ仏の教えを勧める文章を唱える。
- ねんぶつじゅっぺん【念仏十遍】…なむあみだぶつと十回唱える。
- えこう【回向】……仏に対する讃歌の一節を読み上げる。
- そうらい【総礼】…①に同じ。
- さそうれい【三匝鈴】…真宗大谷派で使用される鈴の名称で、ボリュームを上げたり下げたりしながら鈴を打ち鳴らす。
- じねんぶつ【路念仏】…なむあみだぶつを独特のリズムで唱える。
- さそうれい【三匝鈴】…⑦に同じ。
- ひょうびゃく【表白】…葬儀を行う主旨を述べる。
- さそうれい【三匝鈴】…⑦・⑨に同じ。
- しょうしんげ【正信偈】…親鸞聖人の著書に収められた文章を読み上げる。途中より遺族参列者走行が行われる。
- おねんぶつ【お念仏】…なむあみだぶつと唱える。
- わさん【和讃】…仏の功徳や教えを讃える歌を読み上げる。
- えこう【回向】…参列をした人たちがみな、阿弥陀如来の力で極楽浄土へ行き悟りを得られますようにと唱える。
ちなみに通夜では【正信偈】を唱えて、蓮如上人の【おふみ(白骨の章)】を読み上げる流れが多いようです。
真宗大谷派の葬儀におけるポイント
真宗はその他の仏教と異なる点がいくつかあります。
代表的なものをあげると
- 戒名ではなく法名という
- 位牌ではなく法名軸を使う
- 御霊前ではなく御仏前という
- 焼香のとき額にいただくことはしない
といったところですので、参列の際はご注意ください。
お悔やみの気持ちをもって
真宗大谷派のお葬式の流れについてさらりと解説してまいりました。
本記事では閲覧のしやすさを重視するために、基本的な事柄のみの解説となっておりますのでご了承ください。
お葬式に行くとき、自分の宗教と違う宗派のものだったらやり方がわからないと困惑するかもしれませんね。
でも大切なのは参列をすること、お悔やみの気持ちを持つことなのです。
この記事を参考にお葬式に参列をされてくださいね。
最後までご覧いただきありがとうございました。