仏教のお葬式に参列をしたとき、儀式をしているお坊さんがどういう内容のことを行なっているかわかるでしょうか?
自分が属する宗派なら少しは理解できるかもしれませんがいかがでしょう。
この記事では真言宗のお葬式について流れなどをさらりと解説してまいりますので、葬儀参列の参考にしていただけると幸いでございます。
○ 参列する葬儀が真言宗なので、知識を得ておきたい
真言宗ってどんな宗教なのです?
真言宗の開祖は弘法大師空海です。
空海は遣唐使一行とともに中国へ渡り『真言密教』を学び、帰国後に真言宗を開きます。
大日如来が説いた密教の教えである【三密(さんみつ)】
- 手に印を結ぶ【身密(しんみつ)】
- 口に真言を唱える【口密(くみつ)】
- 心を静め念ずる【意密(いみつ)】
を行なうことでその身のままに仏となる『即身成仏』が達成できるという考え方です。
本尊は大日如来で南無大師遍照金剛と唱えます。
ちなみに遍照金剛というのは、空海が中国にて密教を学んだ末に与えられた名前です。
真言宗のお葬式
真言宗における葬儀とは、亡くなった人が大日如来のもとへ還るために儀式をもって『即身成仏』へ導き、仏弟子となれるように、作法を行ないお経を唱えることがメインとなります。
真言宗の葬送儀礼
寺院や地域によって異なるところもありますが、真言宗の葬儀の流れは以下のようになります。
- さんらい【三礼】…大日如来をはじめとする諸仏に礼拝する
- しゃすい【洒水】…法水を注ぎ振りかけることで故人を清める
- かじ【加持】……印を結び真言を唱える
- ていはつ【剃髪】…カミソリにて剃髪をし、仏門へ入る儀式とする
- じゅかい【授戒】…故人に修行者の戒律と真言を授けるとともに戒名を与える
- ひょうびゃく【表白】…諸仏に対し故人の功徳を乞う
- じんぶん【神分】…諸仏諸菩薩の名を唱え、降臨を感謝し故人の滅罪と成仏を願う
- きょうけ【教化】…故人が即身成仏できるように諸仏に対し教えを乞う
- いんどう【引導】…故人に対し自身の臨終を認識させて、印を結び真言を唱え大日如来のもとへ送り出す
- かいげん【開眼】…位牌に魂を入れる
- けちみゃく【血脈】…大日如来~弘法大師~導師~故人に至る真言密教伝承の血脈を授ける
- ふじゅもん【諷誦文】…故人生前の功績を讃え、成仏を願う文章を読み上げる
- どきょう・しょうこう【読経・焼香】…『根本陀羅尼』『光明真言』『回向』を唱える間、焼香が行われる
- きがん【祈願】…故人が浄土へ向かうよう祈願する
- どうしさいごくひいん【導師最極秘印】…故人を浄土へ送る印を結び葬儀を終える
お通夜では『理趣経』や『巧妙真言』を唱え、法話を行なう流れがほとんどです。
真言宗ならではの印結び
真言宗以外の仏教ではあまり見られない、手で印を結ぶという行為があります。
映画やアニメなんかで忍者が手で印を結ぶシーンを見たことがあると思いますが、このルーツも真言密教からきているのですね。
真言宗のお葬式においても、手に印を結ぶ【印契】と真言を唱える【明呪】を合わせた【印明】が行われます。
【印明】によって大いなる功徳が与えられるとされていますので、葬儀の最中はその都度様々な【印明】がなされて、故人を『即身成仏』へ導いていくのです。
儀式の意味を知ること
真言宗のお葬式の流れについてさらりと解説しました。
この記事では、閲覧のしやすさを重視するため基本的な内容の解説となっておりますのでご了承ください。
故人の成仏のために導師の儀式を見守り、焼香をもって自分の身を清めて仏に感謝し、故人に対し祈りをささげる。
儀式の意味を知ることで、葬儀に対するイメージや考え方も変わってきますよね。
宗派の違いで儀式のスタンスは異なりますが、故人の旅立ちに弔意をもって見送るという気持ちが参列者に必要な心構えかと思います。
最後までご覧いただきありがとうございました。