お寺で坐禅をして心を整える…なんて体験会があったりしますよね。
坐禅をして悟りの境地にたどり着いたら仏の教えや真実に目覚めることができる、そんな坐禅を主とする宗派である『禅宗』のひとつに臨済宗があります。
この記事では臨済宗のお葬式の流れなどについて、さらりと解説してまいりますのでどうぞお付き合いください。
○ 臨済宗のお葬式に参列するので基本的な事柄を知っておきたい
臨済宗ってどんな宗教なのです?
臨済宗は中国における『禅宗』のひとつです。
比叡山で学んでいた栄西が中国へ留学した時に禅に触れ、臨済宗を学んでから日本へ伝えて開祖となりました。
『禅問答』という言葉を聞いたことがあると思います。
『そもさん』『せっぱ』なんて口上もあったりしますが、臨済宗では坐禅の修行において指導者と弟子との間で問答を繰り返すのです。
これを『公案(こうあん)』といい、問答のやり取りのなかで悟りを開き、教えを伝承していくという修行のスタイルをとっています。
本尊は釈迦如来で、南無釈迦牟尼仏と唱えます。
臨済宗は14もの宗派に枝分かれをしているのですが、教え自体には大きな違いはありません。
臨済宗のお葬式
臨済宗の葬儀は故人が仏弟子となって修行に入り、悟りを得ることを願う儀式が中心となります。
仏弟子となるために戒名を授けて、仏の道を進むための引導が行われるのです。
お経を唱えることを意味する言葉で『諷経(ふぎん)』と『念誦(ねんじゅ)』という二つの言葉が用いられます。
『諷経』は声をそろえて経文を読むこと、『念誦』は心に念じて経文を読むことという意味です。
お経を唱えるという動作ひとつでも、作法によって言葉が変わるのですね。
臨済宗の葬送儀礼
寺院や地域によって内容が異なることもありますが、臨済宗のお葬式の基本的な流れは以下のようになります。
- ていはつ【剃髪】……導師がカミソリで故人の髪を剃る、もしくは剃る真似をし仏弟子となる準備をする
- さんげもん【懺悔文】…故人の過ちや業を懺悔し、すべてを清らかにして入滅することを願う
- さんきかいもん【三帰戒文】…仏を信じ、仏・法・僧に帰依することを誓う文章を読み上げる
- ごかい【五戒】……仏弟子が守るべき5つの戒めを授ける
- さんじゅうじょうかい【三聚浄戒】…洒水器の法水を棺に注ぎつつ、仏弟子が常に習慣づけるべき基本的な3つのおこないを授ける
- じゅうじゅうきんかい【十重禁戒】…仏弟子が必ず守るべき10の戒律を授ける
- にゅうがんふぎん【入龕諷経】…本来納棺時に唱えるお経だが、形式上葬儀で唱えられることが多い。
『大悲呪(だいひしゅう)』が読まれ、『回向文』が唱えられる - がんぜんねんじゅ【龕前念誦】…故人が悟りを得ることを願うと表明する。『十仏名(じゅうぶつみょう)』を唱え、『大悲呪』を読み、『回向文』を唱える
- さがんふぎん【鎖龕諷経】…棺を閉ざす際に『大悲呪』を読み、『回向文』を唱える
- きがんふぎん【起龕諷経】…出棺に際し『大悲呪』を読み、『回向文』を唱える
- さんとうねんじゅ【山頭念誦】…故人の成仏を願う『往生咒(おうじょうしゅ)』を読み、タイコやハチなどを打ち鳴らす。
- いんどう【引導】……故人に対し仏の教えを説いて、仏道を進めるように導く
- しょうこう【焼香】…『観音経(かんのんきょう)』や『大悲呪』が読まれる中で焼香を行なう
ちなみに通夜では『観音経』や『般若心経』が読まれることが多いようです。
禅宗の一喝
臨済宗や曹洞宗などの『禅宗』では葬儀での引導のときに導師が
『 カ ァ ァ ァ ァ ァ ァ ッ!! (喝)』
と大きな声を出します。
葬儀慣れしていない人は当然ながら、慣れている人もビックリしてしまいますね。
あたりまえですが、導師が大きな声で一喝するのは参列者に気合を入れるためではありません。
大きな声で喝を入れる意味は
『故人をこの世から切り離し仏道の悟りへ導くため』
『引導の法語だけでは伝えきれない教えを喝に込めて故人へ授けるため』
にあります。
『禅宗』の葬儀においての一喝はとても大事な儀式なのですね。
安心を願い葬儀を営む
安心…仏教においては安心(あんじん)と読まれることが多いです。
心が安らかなことが安心である状態ですね。
人の死に直面すると誰しもが不安な気持ちになります。
それは死を迎えた個人も同じことです。
しっかりと成仏できるのか? この世への未練を断ち切ることができるのか? そんな迷いを持つ故人を導師と葬儀に参列する人たちとで導き、安心を願うことで遺族や参列者の心も平静になり安心を得ることができます。
そんな縁を結ぶことも葬儀を営む意味のひとつなのですね。
この記事では閲覧のしやすさを重視するため葬儀の流れの基本的な部分のみを解説しておりますのでご了承ください。
葬儀を営むことがみなさまの安心につながりますよう…
最後までご覧いただきありがとうございました。