家族が亡くなったあとも、ずっとそばにいてほしい…そしていつでも供養してあげたい…。
お墓もあるけど遠方でなかなかお参りに行けない。
新しくお墓を準備するのも大変だし、将来的にお墓を守ってもらえるかどうかわからないし…。
社会環境の変化にともない、遺骨の取り扱いや供養の仕方にも様々な選択肢が登場してきています。
そんな中、遺骨をコンパクトに加工して自宅に置いたり、身に着けたりする手元供養が注目されています。
この記事では手元供養のやり方や、どのようなアイテムがあるかなど解説してまいりますので、どうぞお付き合いください。
○ 手元供養にはどんなやり方があるの?
○ どのようなアイテムを使って手元供養をするのか知りたい
手元供養というスタイル
手元供養が一般に知られはじめたのは21世紀に入ってからです。
それまでは、故人の遺骨はお墓に入るというのが当たり前でした。
1990年代になって自然葬(散骨)が登場し、遺骨の供養の仕方にも変化が起こりはじめ、お墓に入ることが当然であるという風潮が崩れてきたようですね。
【お墓・納骨堂】【自然葬(散骨)】と並ぶように、現代社会にマッチした供養の第三勢力が【手元供養】なのです。
手元供養を選ぶ理由は…
遺骨を手元に置いておく手元供養ですが、現状は『お墓に遺骨があるけど、手元供養もしたい』『散骨で遺骨がすべてなくなるのがイヤだから分骨して手元供養をする』といったように、従来のスタイルと並行して手元供養もするという流れが多いようです。
手元供養を選択する理由としては、
- 故人に対していつでも手を合わせられるようにしたい
- 故人に見守ってもらえるようにいつも身に着けておきたい
- お墓や散骨だったらその場所へお参りへ行くのが大変になるから
- 大きな仏壇を置けないので、モダンな様式で準備をしたい
といったことが挙げられます。
故人の写真や形見の品物だけではなく、『遺骨がそこにあることで強いつながりを感じられる』という人々の根底にある意識が手元供養を選択することで満たされていくのですね。
手元供養の手順は?
故人か火葬をされて遺骨となった時に、手元供養の準備はスタートとなります。
火葬が終わり、骨上げをするときに手元供養のための遺骨を取り分けます。
火葬をする際には自治体から『火葬許可証』が発行されるのですが、これは【この遺骨は自治体の承認の上で火葬されたものですよ】という証明書なのです。
『火葬許可証』は納骨や散骨をする時に管理者や業者などへの提出をしないといけないのですが、手元供養では『火葬許可証』を提出する必要はありません。
ただし、納骨や散骨をする遺骨とは別に分けて手元供養する場合は、念のために火葬場で『分骨証明証』を発行してもらい、保管をしておいたほうがよいでしょう。(先々で手元供養を終了しお墓に納骨などをする際に必要になりますので…。)
手元供養する遺骨を取り分けたら、その後小さな骨壺へ納めたり、アクセサリーやプレートなどに加工をしてもらったりして、身近に感じられる状態で供養をしていくという流れになります。
遺骨を火葬後そのままの状態で手元供養するのは、形が崩れたりして難しくなりますので通常は業者さんに依頼してパウダー状にしてもらうことがほとんどですね。
手元供養のアイテムたち
供養の準備が整ったら、遺骨を手元供養のアイテムに収めることになります。
故人が宿る供養品にはどのようなものがあるのでしょうか。
ミニ骨壺&ミニ仏壇
遺骨は骨壺へという従来からの形式を踏襲しつつ、現代の住宅事情やモダンスタイルな思考に合わせたアイテムがミニ骨壺です。
ニワトリの卵くらいのサイズ感で、色や形などのバリエーションも豊富にあります。
パッと見た感じは骨壺と思わないデザインも多く、リビングなどに写真とともに置いていても違和感はありません。
ミニ骨壺を安置してお参りができるようにしたミニ仏壇もありますので、宗教を重んじる方や、モダンな仏壇が欲しいと考えている方は検討してみるといいですね。
ミニ骨壺には置き型のほかに、携帯可能なカプセル型の骨壺もありますので、いつも一緒にいたいと希望するならばカプセル型をオススメします。
アクセサリー
持ち運びができて身に着けることができるものといえば、ペンダントやブレスレッド、リングなどのアクセサリーですよね。
アクセサリートップに遺骨や遺髪を入れるためのスペースがあるものや、遺骨を加工してアクセサリートップそのものにしてしまうものもあります。
いつも肌身離さず持ち運べて、遺骨が入っているとわからないようなファッション性のある品物が人気を集めています。
特に女性の方が好んで選ぶアイテムですね。
その他の供養品たち
ミニ骨壺やアクセサリーのほかにも、手元供養のアイテムが登場しています。
遺骨をプレート状に加工して命日や名前などを刻んだものや、粉骨をガラス球に収めたもの、特殊な技術を用いて遺骨をダイヤモンドに加工するなんてのもあります。
これから先、手元供養のスタイルが普及していくとともに、新しい供養品も次々誕生していくでしょうね。
人と人とを結ぶ絆
縁あって家族となったあなたとわたし…
先に旅立ったあなたといつもそばにいたい、離れたくないという気持ちを満たしてくれる手元供養は、遺骨というその人そのものの存在によって成り立ちます。
遺影や遺品も大切なのですが、それらはあくまで故人との記憶を呼び覚ますためだけの品物に過ぎませんよね。
まだ歴史の浅い手元供養ですが、日本の家庭環境や日本人の宗教観の変化にともない、今後主流の供養法となる可能性は十分にあります。
絆を紡ぐ手元供養であの人を身近に感じてください。
最後までご覧いただきありがとうございました。