今も昔もお菓子のオマケというものは子供心をくすぐり、購買意欲を刺激するスパイスとして存在していますね。
そのお菓子のオマケに、魅力的なキャラクターやストーリーがあり、レアキャラがゲットしづらかったりすれば、収集欲がそそられ、所有欲を満たしたいという流れが出来上がりブームが巻き起こったりするわけです。
この記事では、今なお続くビックリマンシールの人気シリーズである、悪魔VS天使シールを中心に振り返って行きたいと思います。
ビックリマンシールとは?
ビックリマンシールは、ロッテが1977年に発売開始したビックリマンチョコのおまけシールのことを指します。
発売当初はリアルな絵柄をシールにして、いろんな場所に貼り付けることで見た人をびっくりさせるというコンセプトの『どっきりシール』や、ダジャレキャラクターをシールにした『まじゃりんこシール』などいくつかのシリーズをリリースしていました。
そしてビックリマンチョコ発売から8年後の1985年に、現在まで続くシリーズの悪魔VS天使シールが登場し人気爆発となり、今ではアニメや映画、アイドル、ゲームなど様々な作品とコラボしたシールが発売されるなど、食玩を代表するおまけシールとして認知されています。
悪魔VS天使シール
1985年に発売された悪魔VS天使シールは、登場から少しずつ子供たちに知られはじめ、翌年1986年に大ブームを巻き起こすことになります。
当時は日本経済も好景気にさしかかり、子供たちのホビーもファミリーコンピュータやミニ四駆など昭和を代表するおもちゃ達が席巻していました。
まさにバブル経済期の賑やかな時代に生きたおじさま世代のノスタルジーをくすぐるシールなのでした。
ビックリマンシールブームの要素
なぜビックリマンシールが大ブームとなったのでしょうか。
悪魔VS天使シール以前にも同じようなおまけ付きのお菓子が発売されていたのですが、その商品たちと何がちがうのでしょうか。
シール素材の変化と3すくみ
悪魔VS天使シールは天使・お守り・悪魔の3種類にチーム分けされており、シール本来の貼り付けるという行為で戦う遊びを楽しんでもらうために、それぞれのチームを異なる素材のシールで制作し封入していました。
貼ったり貼り返したりという遊びが目的であったシールでしたが、魅力的なキャラクター達とストーリー展開の影響でいつしか友達とのトレードやコンプリートを目指すコレクション要素がメインになり、貼る遊びから集める遊びへシフトしていきました。
現在、カードゲームやトレーディングカードが文化として根付いていますが、その源流はビックリマンシールだったのでないかと思います。
最高レアリティのヘッドシール
天使・お守り・悪魔シールの3種類は出現率の違いがあり、天使シールのレアリティが高かったのですが、そのさらに上をいくレア度のヘッドシールが存在していました。
どうしてもヘッドシールをゲットしたいと子供たちの購買意欲は高まり、人気が出始めると各地のお菓子屋さんでビックリマンチョコが在庫不足となり、購入数の制限がかかったりする事態になりました。
メディアミックス
1980年代、子供たちのホビー全般は、少年誌で特集されて、その流れで漫画化やアニメ化をすることで世に知れ渡りブームなっていくという図式で発展していきました。
ビックリマンシールもその一つで、当時から子供たちのバイブルとして読まれていた『コロコロコミック』でストーリーやキャラクターが特集され、そのストーリーを追いかけるように漫画、アニメがスタートし子供たちの心をわしづかみにしていきました。
現在のようにインターネットがなかった時代、子供たちの情報源はテレビと少年誌でありました。
私も小学生の頃は、毎月『コロコロコミック』を発売日に買いに行き、穴が開くほど見ていましたね。
大ブームゆえの問題点
子供たちを中心に社会現象となったビックリマンブームでしたが、おまけシールを取り巻くさまざまな問題もありました。
チョコを粗末にする
本来はチョコがメインでシールがおまけという立ち位置ですが、それが逆転してシールが欲しいから大量にチョコを買い、食べきれなくなって捨てたり、ひどいときには買ったその場でシールだけ取りチョコを捨てる行為も見られたようです。
(ウエハースチョコ結構おいしかった記憶があるんですがねぇ)
おまけのカテゴリーを超えたシール
レア度の高いシールを定価をはるかに超えるお金で取引する行為や、おもちゃメーカーなどがビックリマンシールの偽物や類似品を販売して消費者を混乱させる事例が起こったりしました。
またシールが欲しいという理由からチョコの買い占め行為も目立つようになり、販売店が購入個数の制限をかける事態も発生しました。
社会問題からのブーム鎮静化
ビックリマンブームとともにいろんな問題が起こる中、いつしかレア度が高かったはずのヘッドシールが乱発され始め、ヘッドシールの割合が増えることでレアリティが低くなっていきました。
国の行政機関の指導が入ったようなんですが、このことが発端となり徐々にファンが離れていき、ビックリマンブームは緩やかに下降していくのでした。
その後もストーリの変化や、新シリーズの発売などで一定の売上はありましたが、以前のような大ブームとなることはありませんでした。
ビックリマンシールは続くよどこまでも
2000年代に入り悪魔VS天使シールの復刻版やさまざまな作品とのコラボ商品などで少しずつ人気が戻ってきました。
当時流通していたシールなどは、ものによってはかなりの高値で取引され、オークションサイトなどをにぎわせています。
このような現在のプチブームを支えているのは、子供のころビックリマンシールに熱狂していた大人世代なのです。
私も今なおコンビニなどでビックリマンチョコを見かけるとついつい買ってしまいますし、封を開けるときは今でもワクワクするし、引き当てたシールを眺めながらチョコを食べると当時の気持ちがよみがえるものです。
ビックリマンブーム世代の人たちも、最近知った人たちも、どうぞこの楽しいひと時をあじわってみてください。